冬の賄いをタイトルに書いていたけれど、メモに取り残されていた。
冬の終わりに。
グルマンディーズの冬の賄いの定番といえば、グラタンだ。
パテ屋さんの林のり子さんから譲り受けたかっこいいテリーヌ型に、色んな残り物を一切合切入れて、オーブンへ!という賄いらしい一品。
闇鍋ならぬ、闇グラタンと呼んでいる。
闇グラタンといえども、自分の中にはルールというかこだわりのポイントがある。
主にこのグラタンの中身はレタスの芯、キャベツの芯、ブロッコリーの芯、にんじんのスライサーで残った頭の部分、大根の端切れ、1人前しかない炊いたご飯、ちょとだけ残ったパスタ、パルメジャーノ・レジャーノの外側の硬い部分、お正月の残りのお餅、そしてバゲットの切れ端。こういったものたちをいつも勿体無いけど、今は使えないのでとりあえず冷凍庫に入れて取っておく。
そんな残り物たち一切合切とベーコンを削ぎ切りにしたものをテリーヌ型に入れ生クリームをかけて、最後に5ミリくらいにスライスしたパンを上に敷き詰めて、オリーブオイルをパンに垂らしてオーブン200度で30分ほど焼成。
バゲットにオイルをかけて焼くことにより、カリカリのクルトンのような食感に。
中に入れたバゲットは水分を吸ってモチモチとした食感になり、お餅も溶けて色んな具材に絡み合って楽しい。
グラタンで思い出すのは、Gratin d’endives アンディーブのグラタン。
スイス、ジュネーブの隣のフランスの田舎の街に住み込みで子供の面倒を見ながら語学習得するビザでフランス人家族と住んでいたときにお母さんが作ってくれた私が好きなメニューの一つ。
アンディーブ(チコリ)と、ももハムを重ねてグラタン皿に入れて生クリームをかけ、最後にグリエールチーズをかけてオーブンで焼いた料理。
アンディーブのほんのりとした苦味が生クリームとハムの優しい甘みと合わさり、シンプルながら味のバランスがいい、そして簡単!な料理。
なんて素敵な料理なんだ!と感激して、”これはなんていう名前の料理なの?”と聞くと、”アンディーブのグラタン”と返ってきた。
もっと素敵な名前がつけられている料理だと思っていたので拍子抜けである。
私の中ではお気にりの料理になったので、前にパリにに住むフランス人カップルの家に寝泊まりさせてもらった際に夕食を作るよ。と言ってこの料理を作ったのだが、食べた後に二人が”実はゆきえがアンディーブのグラタンを作ると言った時、ちょっと心配な気持ちでこれは子供の頃に給食でよく出てきて、あまり好きじゃなかったのだけど、これはすごく美味しかった!”と言われた。
それくらい庶民的なそして、あまりときめかない料理だったのかぁ。と意外に思った。
そんな料理がフランス人から教えてもらった私が、またフランス人に伝わった。
なんだか人生みたいだな!とちょっと適当なことを思う。
日本でアンディーブはなかなか高価なお野菜で作ることが出来ないのだが、レタスの芯がアンディーブの味によく似ていると思うので、レタスで代用して作ってみるのもお勧めです。